スイムインストラクター

ジムにもかなり慣れ、友達もたくさん出来て楽しく通っていた。

ある日ロッカーで、年配の女の人2人が水着で入ってきたので泳いだの?水温はどうだった?と聞いたらなんと2人はインストラクターだと言う。

私は大学時代スイミングクラブでインストラクターをしていたので、そう言うと2人は同時にここでもやってくれないか?と聞かれた。

時給は安いけどメンバー費がタダになるので、まあやってみようかと始めたのは9年程前か。

最初は緊張したけど、私は子供が好きで子供と話せる。

へ?子供と誰でも話せるではないか、と思われるかもしれないけどそれは違う。

ちゃんと子供と会話が出来る大人とそうでない大人がいる。

子供の目線に下がれる大人と言った方がいいのかな。

私はどちらかと言うと子供の中に入って遊んでしまうタイプで何故そうなるかと言うと、楽しいから。

子供に良くしてやろうと言うより自分が好きな事をすると子供にうける。

なので短期間で人気インストラクターになってしまった。笑笑

年齢は3歳位から5年生まで。

小さな子供にうける下らない冗談(自分の子供に言うとOH  myとか言って白い目で見られる)を言って笑わせるけど、ルールに関しては結構厳しかった。

また軽い自閉症やADHDなど行動にちょっと問題のある子達も教えた。

問題のある子達を教えるのは大変だったけど、結構面白かった。

色々といい勉強、目線の高さや考える方向を変える事をこの子達から学んだ。

また水を怖がってるいる子供もたくさん教えた。

私はパニックアタックを何度も経験しているので、恐れのある子の気持ちが良くわかる。

なので恐れを逸らせる方法もちゃんと知っている。

怖がっている子に大丈夫と言ってはいけない。その子は大丈夫じゃないんだから。

だから話をペットや好きな食べ物に持っていく。水から気を逸らす。

これは真剣にやらないと上手くいかない。

恐怖を取り除く為に自分は冷静で真剣にペットの話をする、と子供も引き込まれる。

1日目私にしがみついて大泣きした子が高校の水泳チームに入った事もあった。

この子も抱いてやり私のペットの犬の話しをした。

今度はその子のペットの話を聞く。

すると話を始めると体の力がスルスル抜けていくので私の体から少しずつ離していく。

かなりリラックスした時に水にいる事に注意を戻し、今度は自信をつけてやる。

大抵の場合それで上手くいく。

買い物とかに行くと、知らない人から何度か声をかけられた。

プールの外で見学をしている親御さん達だ。

子供達に好かれると、親にも好かれる。なので余計張り切った。笑笑

週2回、2時間半の3クラスを毎週楽しみに通った。

時給は信じられないくらい安かったけど、この仕事は私にとって心のビタミンのようなものだった。

冬はちょっと辛かったな。水温が低いと体が冷えて一晩中寒くて眠れない。

こっちに日本のお風呂はないのでシャワーだけでは暖まらない。

なんか、懐かしいなー。

スイムインストラクターを辞めて2年程になる。

あの頃は教えるために水に入っていたので、自分ではあまり泳がなかった。

でも今は水が恋しくて週3回程泳ぐ。

ここ2ヶ月程コロナの為ジムは閉まってるので泳げない。

月末にやっと開くので泳いでこよう!と張り切っている。

きっと色んな思い出に浸りながらの水泳になりそうだ。